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旧盆の時期に、鹿児島県の南端にある島に行った。車で十分も走れば一周できてしまうその島には、オカヤドカリが住んでいる。
オカヤドカリは熱帯域に分布するヤドカリで、名前の通り、海ではなく海に近い陸上で生活する。大きさは握りこぶし一つぶん程度で、浜を歩くと、貝を引きずった足跡が一本の線と無数の点となってくっきり残る。陸上で生活するけれど、夏になると毎晩海水浴をして体内に水を貯め、毒気を抜くそうだ。また、五月から八月の満月の晩には、海の中で産卵する。
海の近くにテントを張って寝ていた私は、カサカサカサというオカヤドカリの足音を聞いた。長い浜辺に線を描きながら歩いて行き、夜中の海につかりぷかぷかと浮くヤドカリ君。海水でその日の島の暑さを取り払い、よっこらしょ、と浜にあがってアダンの木の下にせっせと戻る様子が思い浮かんだ。月明かりが照らす静かな浜辺に、ヤドカリ君もキャンプをする。島ならではの、色とりどりのきれいなすみか。時には住み替えもできる。ヤドカリ君は雑食なので、人間が浜辺に捨てた生ゴミだって食べられる。
いいなあ。毎日さぼりもせずにお風呂に浸かり、ぼーっと月夜を眺めて、時にはすみかを変える。食べ物の好き嫌いはなし。なんだかオカヤドカリが、島の暮らしを満喫する模範的な住民のように思えてきた。
次の日、オカヤドカリを捕まえて顔をじっくり見てみた。小さな丸い二つの目が私をくるりと見た。
東京に帰って島のことを考えるたび、ヤドカリ君は今頃どうしてるかしら?と気になって仕方がない。
muak
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