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たくさんの思い出のなかでも忘れられないのが、ジュンの家出だ。冬になるとアイヌ犬の血が騒ぐのか、毎冬何度も逃げ出した。もちろん首輪をしていたが、ルパンのようにどうにか抜け出すのだ。
兄と一緒に吹雪のなかを探し回る。寒いのと心細いのとで、子供にとってはつらかった。やっと雪道でジュンを見つけたのだが、呼んでもなかなか来てくれない。というより無視されているかのようだった。野生の血に支配され、もう人間との生活のことなど忘れてしまったかのようで、心細さがさらにつのる。
本当にあのなつっこいジュンなのだろうか?どこか遠くを見つめる、真っ白い雪のなかの真っ白い犬。驚いたことに口のまわりが血で真っ赤に染まっている。一体何をしでかしたのだろうか・・・。恐ろしい考えも浮かぶのだが、今はとにかく捕まえなければ。兄が持ってきたジュンの好物の骨を差し出す。
・・・無事捕まえられたかどうか、覚えていない。何度も逃げ出したので、きっと捕まえたことも捕まえられなかったこともあったのだろう。
翌日になるとジュンの犯した犯罪があきらかになる。当時は牛や鳥を飼う農家が近所にあり、ジュンはその鳥小屋に侵入し、鳥を殺害してしまったのだ。父が酒をもってお詫びに行ったのを覚えている。
散歩に行ってもテコでも動かないときがあったり、遊びに来た友だちに噛み付いたり、まさに小さな大自然の猛威を感じさせてくれたジュン。もちろん家族みんな大好きだったし、とてもかわいがっていた。私の子供時代の成長を見守ってくれた、大切な家族だ。
noiraud
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