ひとと動物のかかわり研究会・お知らせ
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勉強会「ペットの被曝と放射性物質による環境汚染に対する考え方」

日本動物高度医療センター院長夏堀雅宏先生を講師に迎えて
「ペットの被曝と放射性物質による環境汚染に対する考え方」勉強会 レポート

立石佳奈子(麻布大学大学院獣医学研究科動物応用科学専攻博士後期課程)

 今回の勉強会では、まず放射線とは何か、放射能とは何か、またニュースで聞く様々な単位は何を表しているのか、といった基礎を勉強しました。
 
 放射線(radiation)とは電磁波(光)と粒子線の総称であり、電離放射線と非電離放射線に分類できます。両方の放射線に危険性があるわけではなく、空気を電離する能力を持つ粒子線または電磁波を指す電離放射線が危険とのことです。
放射能とは、放射線を出すことのできる能力、または放射性同位元素の量を表す言葉であり、単位はベクレル(Bq)で表します。ベクレルと同じようにニュースなどで良く耳にするシーベルト(Sv)という単位は、放射線による人体への影響度合いを表しています。つまり、シーベルトという単位で表されている物について、知っておく必要があります。
単位の次に良く耳にする「ひばく」という言葉について、しっかりと区別しておく必要があります。「ひばく」は同音異義語で「被曝(被ばく)」と「被爆」という2つの言葉があります。「被曝」とは、放射線等にさらされることを意味し、「被爆」とは核兵器による爆撃を受けることを意味しています。つまり、放射線によるヒバクという時は、「被曝」の方が当てはまるわけです。しかし、「曝」という感じは常用漢字ではないため、ニュースなどでは「被ばく」と表現しています。また、ニュースで良く耳にする単語として、「放射能汚染」という言葉がありますが、この「汚染」とは、一定量以上の放射性物質が体表に付着、または体内に取り込まれたり、吸収されたりすることを示し、外部被ばくとともに内部被ばくの原因となるそうです。
 今回の原発事故による物ではなく、自然界にもたくさんの放射線が存在しています。実際に、1年間で宇宙からは0.38mSv、大気からは1.3mSv、大地からは0.46mSv、食物からは0.24mSvの放射線が放出されており、合計すると1年間で平均2.4mSv、私たちは被ばくしていることになります。また、肺のX線撮影を1回行うと0.05mSv、胃では0.6mSv被ばくすることになります。さらに、私たちの体の中にも、0.25%のカリウム(K)が存在しており、その放射能は3,900Bqです。つまり私たち人間は、生活する中で毎日、多少なりとも被ばくしているのです。放射線を利用している例もあります。例えば、りんごや巨峰の品種改良をする際に放射線が利用されており、またラドン温泉に効果があるのも放射線のおかげだそうです。
 「放射線医学総合研究所」では放射線被ばくの早見図(図1)というものを公開しており、日々の生活の中でどの程度被ばくしているのかを確認することができます。100mSv以下では、癌の過剰発生などは報告されておらず、この100mSvを基準として考えると良いということでした。現在の神奈川や東京での放射線量で計算を行ったところ、乳幼児において1日に159ℓもの水を1ヶ月間にわたって飲ませない限り、甲状腺癌の発症率が上昇するということは考えられないそうです。乳幼児のそれほどの量の水を飲ませること自体不可能であるうえに、その量を1ヶ月間飲ませ続けたとしても甲状腺癌の危険性が数%上昇するにとどまるので、現在の放射線量での危険性はほぼないと言ってもよいそうです。

質疑応答にて

Q. 犬や猫に対して水道水を与えても大丈夫なのかどうか教えてください。
A. 現段階においては、犬や猫に対して水道水を与えても何も問題はないです。
小型犬や子犬、子猫であっても同じで、特に大きな問題はありません。また、今後繁殖を考えている犬、または妊娠している犬に対して、水道水を与えても奇形が発生するなどということはないので、心配の必要はありません。

Q. 家に井戸があり、今回の原発事故による放射線の汚染を考えると、水道水を与えた方が良いのか、井戸水を与えた方が良いのかを教えてください。
A. 井戸水はどこからその水が来ているのかを調べる必要があります。その水が来ている元が、高濃度に汚染されているところであれば、もしかすると危険である可能性もあります。また、その土地の土壌によっても、雨で降ったものが浸透するのにどの程度時間がかかるのかが異なるので、詳細を調べてもらった方が良いでしょう。

Q. 家で魚を飼育しています。その魚のために利用する水は、水道水で問題ないでしょうか。
A. 魚に関しても、犬や猫と同様に現段階では何の問題もありません。今までと同じように、塩素を抜いた水を使用してあげてください
放射線被ばくの早見図 
http://www.nirs.go.jp/index.shtml
  
 
 
 
 
 
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